第5回学生論文コンテスト「光石賞」 -ソフトウェアによる実証研究-

 

第5回学生論文コンテスト「光石賞」 審査結果

Contest 2013

厳正なる審査の結果、第5回「光石賞」学生論文コンテストの入賞者は次のように決まりましたのでご報告いたします。
なお、2014年3月17日に表彰式を予定しておりましたが、今回受賞されたお二組は遠方にお住まいのため欠席となりました。

受賞論文

光石賞

中央大学 商学部商業貿易学科
河田 博紀 様
受賞論文:「日本企業におけるIPOの決定要因」

準光石賞

立命館大学 経済学部坂田ゼミ 転職班
大高 聖奈 様、高野 めぐみ 様、山本 千尋 様
受賞論文:「その仕事は本当に天職なのか ~景気と転職行動の実証分析~」

 


光石賞

中央大学 商学部商業貿易学科
河田 博紀 様

「日本企業におけるIPOの決定要因」(PDF, 568KB)

受賞の感想

 光石賞という素晴らしい賞を受賞することができ、非常に嬉しく思います。 論文を審査していただいた審査員の方をはじめ、コンテストを主催いただいた御社には感謝の気持ちでいっぱいです。 また、IPOデータのを提供をはじめ、当論文に協力いただいたを本庄ゼミの担当教員や先輩方に対しこの場を借りて深く御礼申し上げます。 4月からは社会人になりますが、光石賞の受賞で得た自信を胸に、何事にも積極的に挑戦し、努力し、結果を残せるよう日々精進していきたいです。 本当にありがとうございました。

第5回光石賞_光石賞受賞
本庄ゼミの皆様 河田さんは後列左端

講評

専修大学 商学部 大林 守 教授

 光石賞は、「日本企業におけるIPOの決定要因 」となった。全審査委員の一致した意見であった。日本企業の新規株式公開(IPO)を過去の貢献の延長線上に注意深く分析を展開した手堅い論文である。「企業規模の大きい企業や収益性の高い企業ほどIPOを行いやすい」、{企業年齢が高い企業ほどIPOを行いにくい」、「企業規模の効果は非線形であり,資本金17.6 億円を超える企業はむしろIPOを行いにくい」という興味深い結果を得ている。
 そもそもわが国の株式公開市場は不活発であり、論文にあるように上場基準を満たしている企業の約7パーセント程度が上場するに過ぎない。未上場企業のデータを整合的に収集し、注意深く異常値や欠損値を取り除いたデータベースを独自に作成してプロビット分析を行っている点において評価が高い。一方で、4,879社のサンプルのうちIPOを行った企業は70社に過ぎないとあり、これは単純にみて1.4パーセントの企業しかIPOを行っていない計算となる。論文においてプロビット分析の適合度が議論されていない点を考え合わせると、生起確率が非常に低い事象を分析している点に不安がある。一案であるが、視点をIPO基準が満たされた企業のなかから、実際にIPOを行うコストベネフィット要因を分析する方向性も考えることができよう。そのほうが公開市場を活性化し、企業のIPOを促進するための政策手段の開発に役立つ可能性があろう。
 はじめに、手堅い論文という表現をしたが、文章、先行研究のサーベイ、データベースの作成、分析手法の実行など質が高い論文である。プロビット分析の適合度の議論、推計した係数のていねいな解釈、そして政策含意への配慮を付加すると、完成された論文となることを確信する。

 


準光石賞

立命館大学 経済学部坂田ゼミ 転職班
大高 聖奈 様、高野 めぐみ 様、山本 千尋 様

「その仕事は本当に天職なのか ~景気と転職行動の実証分析~」(PDF, 356KB)

受賞の感想

 この度は準光石賞という素晴らしい賞を受賞することができ、感激です。卒業まであと一年間、より面白い研究ができるように精進致します。また、本研究をするにあたって、貴重なコメントをいただいた坂田圭先生、心より感謝申し上げます。さらに、分析に当たり、東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブから個票データの提供を受けました。たくさんの人にお世話になり、この研究をすることができました。本当にありがとうございました。

第5回光石賞_準光石賞受賞
左から大高さん、高野さん、山本さん

講評

専修大学 商学部 大林 守 教授

 準光石賞は、「その仕事は本当に天職なのか~景気と転職行動の実証分析~」となった。何よりもテーマ選択のセンスそして個票を利用した分析が光った。一方で、分析や結論において不十分な点がいくつか存在し次点となった。
 先行研究がマクロデータを用いていることに対して個票を用いている点が評価できる。「学卒時の景気が好況になると転職回数が増加することが明らかになり、先行研究とは逆の影響」とあり、転職行動に就職活動期のトラウマや企業の質を要因としている。しかし、マクロデータと個票データの結論の相違点を説明する論理は見当たらない。したがって、ファクトファインディングとして重要な業績であるが、就職活動期のトラウマや企業の質をどのように分析の俎上に乗せるかをみせてくれるだろうという将来期待を審査委員の多くが表明していた。
 論文の形式はしっかりしており、良い指導を受けていることと本人の努力が感じられる好論文である。

 

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