EViews ユーザ事例 第6回
初心者でも高度な実証分析ができることを目指してEViewsの書籍を出版!(2)

明治学院大学 経済学部 教授 高橋 青天 先生

初心者でもEViewsを使いこなせるように!

―― この本を書こうと思った動機を教えてください。

【高橋先生】
北岡先生も本書で言及されていますが、いま手に入れることができる計量ソフト(EViews, TSP, RATS, STATA, SHAZAM等)の性能は、10年前の計量ソフト、例えばEViews の前身であるMicroTSPと比べても、 「スバル360」と「フェラーリ」ぐらいの差があります。したがって、うまく使いこなすためには、かなりの熟練が必要です。

ところが、EViewsはほかの計量ソフトとは違い、ダイアログ形式を採用しています。このことは、実証分析の初心者でも、うまく使いこなせばかなり高度な実証分析ができることを意味しています。フェラーリ級のEViewsを、普通乗用車しか運転したことのない初心者でもうまく使いこなせるような解説書があれば、という思いからこの本の「基礎編」を書いた次第です。

また、フェラーリ級の車で、日本の富士スピードウェイを走らせる場合と、通常の道を走らせる場合では、その運転の仕方がまったく違います。このように、具体的な実証分析を行う場合にも細心の注意が必要です。具体的な実証分析例を使い、EViewsでどのような点に注意をはらって分析を進めるのかを解説したのが「応用編」です。

―― 執筆に当たって苦労したところをお聞かせください。

【高橋先生】
これまでのEViewsに関する解説書と違い、即、実践に結び付くように配慮しました。「基礎編」と「応用編」では、モンテカルロ実験やブートストラップ法使って統計量に関する標本分布を多数描いています。このためのEViewsプログラムを書くのに苦労しました。

EViews のプログラミングは基本的には良くできているのですが、やはりプログラムのくせがあり、P. Kenedy や Dinardoなどが書いたEViewsプログラムを参考にしました。もっと簡潔なプログラムを書くことができると思いますので、これからも掲載のプログラムを改良したいと思います。

プログラムというと、30年ほど前の学部生時代、所属していた計量経済学のゼミでFORTRANという言語を使ってプログラムのループを書こうとして、大変苦労したことを思い出します。ところがEViewsでは、このようなループを簡潔に書くことができ、そのため、モンテカルロ実験やブートストラップのプログラムを非常にシンプルにできます。この点はEViewsの非常にすぐれた特長です。みなさんもぜひプログラミングに挑戦して下さい。

―― 明治学院大学様では教育面でもEViewsを積極的にご利用いただいておりますが、その利用方法をどのようなものでしょうか。

【高橋先生】
EViewsの特徴は、単なる最小二乗推定だけでなく、かなり高度な計量分析を、ダイアログ画面に答えていくだけで実行できることです。このことは、学生が行いたいと思っているどのような実証分析も、ほぼ実行可能であることを意味しています。

私のゼミでは、VAR分析やパネル分析などを使い、卒論テーマとして、「日銀の金融政策の評価」、「日本の国民貯蓄率の急速な低下要因」や「日本の地域格差問題」などを分析しています。
これらの成果の一部は、「応用編」の実証課題として、第5書の章末問題に掲載しています。ぜひEViewsを使って、このような高度な実証問題にチャレンジして下さい。

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