Climex and Dymex Suite 4

DYMEX の概要

DYMEXは生物集団の確定的な個体数モデルを開発し、実行するためのモジュール型モデリングパッケージです。個体数モデルは種のライフサイクルをベースに構成されます。ライフサイクルとは生物が生長とともに歩む成長ステージのことです。

DYMEXを利用してモデルを利用することによって、生物集団のダイナミクスに対する理解を深め、知識と実体のギャップを認識し、生物集団を管理するオプションに対する素早い判断が可能になります。

DYMEXは変化する環境下で増減する生物種の個体数をモデリングするためのソフトウェアです。プログラミング言語を習得することなく、広範囲な影響を考慮した個体数モデルを作成できます。モデル構築の中心となるのは個体の経験するライフサイクルです。DYMEXのライフサイクルでは個体の集合体であるコーホートと、集合体サイズの大きさ、年齢、コーホートにおける個体数に影響を与える過程に関する情報を記述します。

DYMEXは個別生物体の運命をモデル化するものではありません。個別の生物体はコーホートと呼ばれる単位に集約します。つまり、コーホートは同じライフステージにあり、同じ物理空間に存在している集団を指します。DYMEXのライフサイクルにおいては基本単位としてコーホートをモデル化します。ですから、シミュレーション期間において、ある一日に生まれた同一種の生物体は同一のコーホートを形成することになります。シミュレーション期間においてコーホート内のすべての個体は、すべて同じ条件で時間を過ごすことになります。

DYMEXで作成したモデルはモジュールによって構成されます。個々のモジュールは特別なタスクを管理します。一つのモジュールは他のモジュールからの情報を入力として受け取り、そして他のモジュールへ情報を出力します。ビルダ機能で作成したモデルに対応したモジュールが予めDYMEXには用意されています。各モジュールには独自の機能があります。例えば、MetBaseはファイルから気象変数セットを読み込む際に利用されます。ビルダで作成したモデルはシミュレーションを実行するSimulatorで開くことができます。シミュレーション結果は表、グラフ、マップ、そして他のプログラムにエクスポートできます。

モデルは一般的に複数のライフサイクルモジュールに関して作成します。一方、ライフサイクルモジュールにデータを提供したり、ライフサイクル出力を操作するモジュールもあります。モジュールには例えばFunctionモジュールのように多くの用法があり、モデルの色々な箇所で利用されます。また、中には土壌吸湿モジュールのように高度なものをあります。モジュールは基本的に他のモジュールや外部ソースからの入力を受け取ることができます。例えば、MetBase(気象データベース)モジュールはテキストファイルの気象データを受け取り、他のモジュールが利用できるようにデータを変数として提供します。

DYMEXは次のような機能を用いて自然なシステムをモデル化します。

  • ビルダとシミュレータ
    DYMEXはビルダとシミューレタの2つのプログラムで構成されています。こらのユーザフレンドリなプログラムで個体数モデルの作成と実行を行えます。
  • Microsoft Windowsのインタフェース
    DYMEXのグラフィカルインタフェースを利用すれば、学生や研究者でもWindows環境下で簡単にモデルを作成し、実行できます。モデルやコンポーネントは生態学者なら直感的に理解できるような形で提供しています。
  • モジュラーフォーマット
    モデルはモジュラー形式で作成され、モジュールごとに異なる過程を処理します。これによりモデルの編集や拡張も容易に行えます。
  • 拡張的なモジュールライブラリ
    DYMEXにはユーザ調整型のライブラリがあります。これらは個々に特殊な関数機能を有しています。
  • ユーザドキュメント
    DYMEXは2冊のユーザーズガイドとステップバイステップのチュートリアル、そしてオンラインヘルプとともにご提供します。

ビルダ - (v3 新機能)

v2とv3の主な違いについて次のようにまとめました。これらの新機能の他にも、ビルダには多くの改良が施されています。

  • 生物集団をモデル内で、遺伝的関連や空間的関連のあるサブ集団に分割できます。分割を行うと、サブ集団に対応した変数やパラメータをそれぞれ生成します。
  • 新たに用意されたライフステージ型ウィンドウにより、ライフステージ処理の操作は格段に簡単になりました。あるステージにおける処理全体を包括的に把握できるので、モデルの動作もより簡単に理解できます。旧バージョンに比べ、操作すべきダイアログの数を大幅に減らすことができます。
  • ライフサイクルウィンドウのフォーマットをシミュレータと同じものにしました。よって、ウィンドウは簡単にサイズ変更、ズーム、印刷できます。
  • 変数ウィンドウを拡張しました。変数の保存はもちろん、変数とそれに関連するモジュールの編集が行えるようになりました。
  • ライフサイクルに関連する要素(ライフステージ処理の一部ではないもの)をライフサイクルモジュールに保存できるようになりました。これにより、同じパラメータを何回も定義する必要はなくなりました。

バージョン1からの拡張機能

ビルダーはv1から大きく機能拡張されています。v1のユーザのために同じ違いを詳細に記述しました。バージョン2における動作が、最新のバージョン3と異なるものについてはカギカッコに囲みました。

  • 新しいモジュールを用意しました。Adjustable Circadian, Climate Change Scenario, Daydegree, Difference, Equation, Counter, MetManager, Discrete QueryUser, Accumulator (Running Mean), Storage, Switch, Weather.
  • モジュールとその出力変数に付加情報を追加できるようになりました。
  • イベントモジュールにトリガとアクション間の、ユーザ定義のディレイ、プログラム可能なオフ条件、複数の独立アクション要素を設定できるようになりました。
  • ライフサイクルの分岐、入れ子ステージ(Endostage)、移入過程、退出過程など、ライフサイクルモジュールを大きく拡張しました。
  • 「デフォルトで暦年齢は日次となっています。v1ではタイムステップを採用していました。ビルダのv1においてタイムステップを週次にし、暦年齢過程を採用したモデルを作成した場合、それをv2で実行するには暦年齢の設定をライフサイクルプロパティのダイアログボックスで"タイムステップ"に変更するか、または、個別に暦年齢の処理を編集します。ライフステージの密度は個々に異なります。」
  • 変数サマリ(Summary Variables)をビルダにおいて設定でき、通常の変数と同じ方法でモジュールを使って操作できます。
  • モジュールはメインであるModel Descriptionファイルと複数の補助ファイルに分割保存されます。多品種モデルなど、複雑なモデルの場合、最初に個別のモデルを作成し、後でそれらを組み合わせることができます。
  • モジュール用のパラメータを個別のParameter Fileに分割保存できます。
  • モデル内で利用したすべての変数は、変数ウィンドウで一覧表示できます。このウィンドウには他に変数のソースモジュール、変数を利用しているモジュール名も同時に表示します。

モジュール内で利用しているパラメータは関数や過程で置換できます。そして過程には解説文を付けることもできます。

シミュレータ - (v3 新機能)

v2とv3の主な違いを次に示します。もちろん、これら以外にも多くの機能が改良されています。

  • 生物集団をモデル内で、遺伝的関連や空間的関連のあるサブ集団に分割できます。分割を行うと、サブ集団に対応した変数やパラメータをそれぞれ生成します。
  • 各ライフステージファイルにおいてプロセス全体、およびプロセス要素を簡単に把握できるようにライフステージウィンドウを拡張しました。
  • ライフスレージは複数のコーホートで初期化できます。各コーホートを個体に対応に対応させる場合に便利な機能です。
  • ライフサイクルに関連する要素(ライフステージ処理の一部ではないもの)をライフサイクルモジュールに保存できるようになりました。これにより、同じパラメータを何回も定義する必要はなくなりました。

シミュレータv1からの拡張機能

v1に比べ、シミュレータには数多くの点で機能拡張されました。ここでは主要なポイントだけを解説します。

  • シミュレータの理論的設計を大きく変更しました。v1ではGMD(ユーザオープンドモデル)ファイルを利用していました。v2では新たにDXSまたはINIファイルを利用します。シミュレーションファイルはDYMEX v1で利用していた初期化ファイルと同じものであり、実行条件の設定情報を保存するものでなければなりません。新しい理論的設計を採用することで、シミュレーション設定を簡単に保存できるようになりました。
  • モデルコンポーネントウィンドウに新たな機能を追加した上で、設計面で変更を加えました。モジュール中により詳細な設定情報を持つ事ができるようになりました。ユーザは初期化の不要なモジュールを隠すことができるようになったので、モデルをよりシンプルに表示できるようになりました。コンポーネントウィンドウではパラメータや、パラメータの情報に簡単にアクセスできるようになっています。シーケンスの設定もより便利になりました。
  • パラメータの初期化ウィンドウを拡張し、階層的なパラメータ構成をツリービューで表示できるようになりました。特定のモジュールに対するパラメータモジュールに対し、具体的なパラメータセットに名前を付けて、解説文とともに保存しておくことができます。
  • 新しいモジュールの一覧を次に示します:Adjustable Circadian, Climate Change Scenario, Counter, Daydegree, Event with Delay, MetManager, Discrete QueryUser, Running Mean, Storage, Switch, Weather.
  • ライフサイクルの分岐、入れ子ステージ(Endostage)、移入過程、退出過程など、ライフサイクルモジュールを大きく拡張しました。
  • 画像出力機能も新しくなりました。よりインタラクティブで、簡単にグラフを作成でき、オプションの選択もフレキシブルに行えるようになりました。パネル数、そして、シリーズ数の上限も無くなりました。
  • 地理学的範囲を横切る結果を生み出すようなシーケンスを複数回実行することで、地図を作成する能力を追加させることができます。例えば、MetManagerやDataFileシーケンスによってコントロール可能な地図を作成できます。
  • テーブル出力はよりフレキシブルに編集可能になっています。複数回、モデルを実行させて、その結果を保存することも可能です。
  • 入れ子型シーケンス、そして既存シーケンスに対する拡張機能を施しました。

複数回のプログラムを実行した時、実行回ごとのテーブルやチャートは実行回ごとの出力テーブルに保存できます。

DYMEXのメリット

プログラミングの必要はありません。
プログラミングの必要はありませんで、DYMEXモデルの作成にあたりデバッグ作業は不要です。

プログラムコードメンテナンスの費用は発生しません。
すべての必要なコードは記述されており、検証済みです。

簡単な操作性
DYMEXはユーザフレンドリな環境を提供することにあります。DYMEXの操作方法を学ぶことで、短時間のうちに簡単なモデルを構築できるようになります。もちろん、生物集団の生態について十分な知識は必要ですが、DYMEXを利用することでモデル作成の労力を大幅に軽減できます。

スムーズなモデル作成
DYMEXによるモデル作成作業はブロックを積み重ねる作業と似ています。個々のブロックに様々な機能が内蔵されています。DYMEXにはモデルのフィットと検証用の機能が予め用意されていますが、その機能を実際に実行させるのはユーザです。

拡張モデル
DYMEXで作成したモデルはビルダを利用して簡単に変更と拡張を行えます。

透明性の高いデザイン
モデルはビルダとシミュレータを利用すれば、その設計内容を簡単に確認することが可能です。

DYMEXNの利用方法

集団生態学
生物集団のモデルを簡単に作成できます。個体数のダイナミクスを簡単に分析できます。

IPMの最適化
DYMEXにはモデルに管理オプションを追加するモジュールが用意されています。最終的なモデルでは例えば、化学、バイオ農薬、宿主抵抗性などのモデルで自動的に最適戦略を検索することが可能です。

雑草生態学と管理
植物群モデルを作成し、理論面そして管理面からの探索的調査が可能です。

モデリングワークショップ
DYMEXを利用して研究者間での情報共有や共同研究を行うことが可能です。ワークショップなどの場でモデルを作成し、それを実行させることで発展的な情報交換が可能になります。

高等教育でも利用
DYMEXはコンピュータプログラミングを行うことなく、生物学の学生や研究者が科学的な探求に集中できる環境を提供します。

動作環境

Climex and Dymex Suiteの最低動作環境は以下の通りです。

  • OS:Windows Vista以降 (32bit, 64bit)
  • メモリ:2GB
  • ハードディスク容量:3GB (サンプルの気象データが含まれているため容量が大きいです。)

※Climex and Dymex Suiteは64bit版WindowsのPCにインストールすることができますが、32bitアプリケーションであるためメモリは3.2GBまでの利用となります。