Origin/OriginProユーザ事例集

第2回「毛髪の微細構造を分析する大量のデータ処理をOriginで解決!(2)」

花王株式会社 ビューティケア研究センター  梶浦 嘉夫 様

● 解析をするためにOriginを選んだ

この研究を行う上で必要となるのが、X線散乱のデータ処理です。そのデータ処理を行うソフトウェアとして、梶浦様が選ばれたのがOriginでした。

「二次元画像の解析ができないといけない、非線形のフィッティングができないといけないという2つの条件がありました。」と、データ解析に必要な機能をOriginが満たしていることが、候補に選ばれる理由になりました。

そして、社内のOriginユーザによる「世界的に見ても研究の道具として認められているソフトだ」という推薦があったことが導入の決め手になったそうです。「あとは値段ですね。自分が申請できる予算の範囲内に入っていました。」

実際にOriginを導入し、使ってみたところ「きめ細かいカスタマイズができる」点が特に気に入ったそうです。解析やプログラミング機能を使いこなすまでには苦労も多かったそうですが、それらの機能を使う目的で導入したため、最初からプログラミングなどにチャレンジしました。

● 莫大な量のデータをいかに処理するかに苦心

X線小角散乱の測定を行っているのは、兵庫県にある世界有数の大型放射光施設「スプリング8(SPring-8)」です。1回の測定は1~2日で済むものの、得られるデータ量は合計で数100GBにもなります。「1つのデータはテキストデータなら10MB、バイナリにすれば5MBぐらいですが、髪の毛1本につき15~6点のデータを取ります。したがって、髪の毛1本あたりのデータは80~100MBという膨大な量になります。」取ります。したがって、髪の毛1本あたりのデータは80~100MBという膨大な量になります。」

データを処理するプログラムを作ってしまえば各データの処理自体は難しいことはないものの、データを1つずつ処理していくことは大変面倒な作業です。「それぞれのデータの処理ごとにパラメーターをいちいち手入力で行っていました。自分でマウスを動かしてぷちりぷちりと。」

そして、研究を続けていくうちに問題が出てきました。「処理自体はできていたのですが、その規模というか処理時間というか、あまりにもデータが大量なので手が回らなくなってきたのです。」

各データの処理には時間がかかるため、処理が終わる頃を見計らって次のデータ処理を実行させなければならず、ほかに行っている仕事をそのたびに中断することになります。データが大量になると、こうした負担も無視できません。

そこで、一連の処理を自動化することを思い立ったそうです。「今回のカスタムルーチンについても、最初は自分で作ろうと思ったんですよ。でも、(プログラム作成にかかる)時間を考えて、これはとてもやっていられないと。自分がそれに取りかかる時間、そしてその結果得られる成果を考えたときに、あえてトライしないという選択もあるかなと。」

そして、ライトストーンにカスタムプログラムの開発を依頼されました。

実験結果や研究成果を説明される梶浦様。
「数年前にこの研究を始めた頃はまだ緊張感もあったので、それこそ1日24時間、
徹夜に近い状態で測定しました。でも、最近は寝ますね。さすがにつらいです。」

 

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