Origin/OriginProユーザ事例集

第2回「毛髪の微細構造を分析する大量のデータ処理をOriginで解決!(3)」

花王株式会社 ビューティケア研究センター  梶浦 嘉夫 様

● 解析時間を30%、費用は70%削減の効果!

梶浦様が行っている毛髪のX線小角散乱の解析手順は、「1.二次元X線散乱イメージの作図」→「2.一次元散乱強度プロファイルの抽出」→「3.理論曲線フィッティング」→「4.解析結果のアウトプット」という4段階です。この中の、「1」「2」「4」の作業を、カスタムプログラムで自動化できました。

その効果は「従来、200サンプルの解析にかかる期間は4カ月間でした。これが自分で行う処理が1.2カ月間、自動化プログラムを動かしている期間が1.4カ月間になり、所要時間としては30%の短縮に成功しました。」と、かなり大きなものです。

解析を自動化するカスタムプログラムの導入による効果

「最近はスプリング8のオートメーション化が進んでいて、データが結構取れるんですよ。それで、解析が律速になってきています。前はデータが入ってこなかったんですけど。今は、次の測定までの間になんとか解析を終わらせなきゃ、という感じになっていますね。」このような背景もあり、自動化プログラムが研究に役立っています。

もちろん、効果は解析時間の短縮だけではありません。「人件費として計算すれば約70%の削減になります。」と、費用という観点ではさらに大きな効果が得られています。

すでに数百本の毛髪を測定したものの、まだまだいろいろな解析が必要だそうです。放射光施設を利用するためには利用申請が採択される必要がありますが、採択される限りこの測定を続けていきたいということでした。

このインタビューは2006年11月下旬に行ったものですが、花王株式会社より2007年4月27日に発売された最新のヘアケア商品「Segreta」(セグレタ)に、今回の研究の成果が反映されているそうです。Segretaは、新聞やテレビ、雑誌などにも取り上げられ、注目を集めています。今後もさまざまな製品に研究成果が反映していくことが楽しみですね。

関連リンク

大型放射光施設 SPring-8(スプリング8)
http://www.spring8.or.jp/ja/

 

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