Vol.44 2つ目のY軸を追加する新しい仕組み

Origin 2023の新グラフ形式「二重Y軸」

Origin2023で追加された新グラフ形式「二重Y軸」では、レイヤは1つで全く別の2つの軸を作成することができます。このグラフ形式では従来のグラフ形式と比べて簡単に軸の数を変更できるため、一度作図したあとに1軸から2軸に変更する際に非常に便利です。ただ、今までのOriginのグラフの原則からは外れたグラフ形式ですので、Originを長く使っている方は混乱することもあるかもしれません。そこで、今回は「二重Y軸」の特徴や利点、作図操作をご紹介します。

新グラフ形式
新しいグラフ形式には作図メニューのアイコン左上にレイヤが1つであることを表す"1"の表示があります。

Origin2022bまでにあったグラフ形式「二重Y軸」はOrigin2023では「2Y軸Y-Y」に名前が変更になりました。
名前が変更になったグラフ形式はこちらからご覧ください。

レイヤについてはこちらをご覧ください。

二重Y軸グラフの作成

新しい形式の二重Y軸グラフは、メニューの 作図:複数区分/軸:二重Y軸 を選択して作図します。すると、レイヤは1つのまま全く別スケールのY軸が2本用意され、それぞれの軸にプロットを表示できます。

二重Y軸で作図

また、いったん 作図:基本の2Dグラフ:折れ線 といったメニューで1つの軸の折れ線グラフや散布図などを作図してから2軸目を追加することもできます。その場合、別軸に移したいプロットをクリックして表示されるミニツールバーで「単一」タブを開き、「右Y軸にプロット」をクリックすることで簡単に2軸目にプロットを移動できます。

折れ線で作図してから2軸に変更

これにより、従来のグラフでは、作図前にレイヤや軸の数を決めておく必要がありましたが、作図後に「やっぱり2軸にしよう」という場合でも柔軟に対応できるようになりました。

二重Y軸グラフの利点

新しい二重Y軸グラフの利点は、レイヤ1つで別々の2軸を描けるという手軽さにあります。従来のグラフではレイヤ1つにつき1つの軸が基本でしたので、2軸必要な場合はレイヤを2つにしてそれぞれのレイヤで軸を作成する必要がありましたが、二重Y軸ではクリック操作だけで可能になっています。

また、これまで2軸に対応していなかったグラフ形式でも2つ目の軸を追加して表示できるも魅力です。
例えば、下図のように単位の異なる2つのデータをメニューの 作図:基本の2Dグラフ:線系 を選択して作図し、ミニツールバーから「右Y軸にプロット」を選択することで、2軸にできます。

線系形式で2軸に変更

線系グラフだけでなく、下図のような2軸のボックスチャートの作成も今までに比べて簡単になっています。

2軸ボックスチャート

Originのグラフ構造

Originのグラフはページ、レイヤ、プロットの3層で構成されています。

Originのグラフ構造

この考え方は新しい二重Y軸グラフでも従来の2Y軸Y-Yグラフでも同じですが、従来のグラフ形式ではレイヤ1つにつき1軸が基本ですので、別々の2軸を用意したい場合は下図のようにレイヤを2つにしてそれぞれのレイヤで軸を作成し2軸グラフにしていました。

2Y軸Y-Y構成

二重Y軸グラフでなくとも1レイヤに複数の軸を表示することはできますが、これは「片方の軸のコピー」を表示するだけで、全く別の2軸にはできませんでした。
今回ご紹介している二重Y軸グラフでは1レイヤにスケールや単位の異なる全く別の2軸を追加することができます。

Originのグラフ構成についてはこちらの動画の説明が詳しく、理解しやすいです。こちらの動画では従来の2Y軸Y-Y形式を使った作図も行っています。

Origin2023でのグラフ形式名の変更

Origin2022bまでにあった旧グラフ形式「二重Y軸」はOrigin2023では「2Y軸Y-Y」に名前が変更になりました。新グラフ形式の追加の影響があったグラフ形式については下表をご覧ください。

Origin2022bまでの
名前
Origin2023以降の
名前
作図メニューの
アイコン
レイヤ数
二重Y軸 2Y軸Y-Y 2Y軸Y-Yアイコン 2レイヤ
二重Y軸縦棒 2Y軸縦棒 2Y軸縦棒アイコン 2レイヤ
-- 二重Y軸
(新グラフ形式)
二重Y軸アイコン 1レイヤ
-- 二重Y軸縦棒
(新グラフ形式)
二重Y軸縦棒アイコン 1レイヤ
-- 二重Y軸 縦棒・線+シンボル
(新グラフ形式)
二重Y軸 縦棒・線+シンボルアイコン 1レイヤ

3軸以上のグラフ作成

新しい二重Y軸グラフの形式は3軸以上には対応していません。3軸以上のグラフを作成する場合は従来の3Y軸Y-YYなどグラフ形式で作成する必要があります。

3軸グラフ

3軸以上のグラフの作り方については、弊社が過去に開催した「Originで多軸グラフを作ろう」ウェビナーのアーカイブ動画をご視聴ください。

テクニカルサポート

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せフォームよりテクニカルサポートまでご連絡ください。

その際、必ず「製品名」「バージョン」「シリアル番号」をご連絡ください。

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