Vol.48 範囲を指定してフィットを実行

カーブフィットを実行する際に、データの一部分に対して分析を実行したい場合があります。Originでは、グラフ上またはワークシート上の分析対象となるデータを簡単に選択してからフィットを実行したり、フィット処理から一部のデータを除外する様々な方法があります。

この記事を読むとこれができます!

  • グラフ上でフィット範囲を指定してから実行
  • データのX範囲を数値で指定してフィットを実行
  • データの一部を除外してフィット処理
  • グラフの区間ごとにフィットを実行
グラフ上でフィット範囲を指定してから実行

なお、フィットを実行して得られるフィット直線/曲線の表示範囲を変更したい場合の操作についてはこちらでご紹介しています。

サンプルデータ

使用するサンプルデータは、以下よりダウンロードできますので、お手持ちのOrigin上で実際にインポートの操作をお試しいただけます。

サンプルデータ(fit_partial_sample.zip)

zip

zip(96.3KB)

グラフ上で範囲を指定

  1. グラフウィンドウをアクティブにして、Originの左のツールバーにある「領域データセレクタ」ボタンの矢印をクリックし、「アクティブプロットから選択」または「全てのプロットから選択」を選択します。これで、グラフ上の分析したい範囲をクリックアンドドラッグで選択できます。
  2. 領域データセレクタ

    「アクティブプロットから選択」と「全てのプロットから選択」

    領域データセレクタの右側にある下向き矢印ボタンをクリックすると、2つのモードを選択できますが、それぞれ対象となるデータプロットが異なります。
    これらのモードはTABキーで切り替えできます。

    • アクティブプロットから選択:グラフ上で現在アクティブなプロットのみ対象です。アクティブなプロットを切り替えるにはグラフ上でプロットを一度クリックするか、「データ」メニューでアクティブにしたいプロットを選択します。
    • 全てのプロットから選択:同じレイヤ内に複数のプロットがある場合に、このモードで領域を選択することで全プロットに対して範囲指定ができます。
  3. ドラッグして範囲選択後、赤いマーカー部分でクリック後、マーカーをドラッグアンドドロップして範囲を変更できます。現在の座標は「座標データ表示」ウィンドウに表示されます。範囲が決まったらEnterキーを押して終了します。
  4. 作図メニューから散布図行列を作成

  5. 範囲選択後「解析」メニューから「フィット:線形フィット」等の解析ツールを選択します。するとデータ範囲が指定された状態で入力データが設定されるので、必要に応じてほかの設定をして実行します。
  6. 解析実行後のグラフには、範囲を示すマーカーとしてグラフ上にピンク色の矢印が表示されます。グラフエクスポートや印刷の際には表示されませんが、非表示にしたい場合はOrigin上部のツールバーにある「解析マーカーの表示/非表示」ボタンをクリックします。
  7. 処理実行後の解析マーカーの表示/非表示

ダイアログで範囲を指定

グラフ上で解析範囲を指定する方法のほかに、フィットのダイアログ上で入力データの範囲を指定することもできます。この方法の場合、元データシートの行番号または、X値で範囲指定が可能です。
ワークシートデータからフィットを実行した場合でも、グラフからフィットを実行した場合でも同様の操作で範囲を設定できます。

線形フィット/多項式フィットの場合

「解析:フィット:線形フィット」または、「解析:フィット:多項式フィット」を選択して開いたダイアログの「入力」タブで「入力データ:範囲:行」の項目にあるドロップダウンリストを使用します。

ダイアログで範囲指定

「行による」を選択した場合、その下の「開始」と「最終」に元データシートの行番号を入力して範囲を指定できます。

「Xによる」を選択した場合、その下の「開始」と「最終」にXの値で範囲を指定し、範囲を決定できます。

非線形曲線フィットの場合

「解析:フィット:非線形曲線フィット」を選択してダイアログを開き、「設定」タブの「データ選択」を選択し、「入力データ:範囲:行」の項目にあるドロップダウンリストを使用します。

非線形曲線フィットダイアログで範囲指定

「行による」を選択した場合、その下の「開始」と「最終」に元データシートの行番号を入力して範囲を指定できます。

「Xによる」を選択した場合、その下の「開始」と「最終」にXの値で範囲を指定し、範囲を決定できます。

データの一部を除外してフィット

ワークシート上またはグラフ上のデータの一部分を除外して解析する場合、マスク機能を使用します。フィットを実行後に除外することもでき、データ内の外れ値を除外して処理したいときなどで便利に使用できます。

グラフでの操作

複数プロットがある場合はマスク処理したいプロットを一度クリックしてから、Originの左のツールバーにある「現プロットのマスクポイント」の矢印ボタンをクリックして表示されるメニューを選択します。これで、グラフ上の除外したいデータをクリックするか、ドラッグして囲むことでマスクデータとして設定できます。

グラフでマスクをかける

※レイヤ内の複数のプロットに対して一括でマスクしたい場合は、すべてのプロットに対してマスクの操作をしたい場合は、「全てのプロットのマスクポイント」を選択するか、「現プロットのマスクポイント」を選択した後にTABキーを押して切り替えます。

マスクの設定が終わったら、キーボードのEscキーを押すかポインタボタンをクリックしてマスクモードを終了します。

グラフ上でマスクすると対応するワークシートでもマスクされていることがわかります(赤い文字で表示)。また、マスクデータがある場合のフィット結果のレポートには、どのデータがマスクされたかを「マスクされたデータ」表で確認できます。

グラフでマスク処理するとワークシート上でもマスクされる

囲んでマスクを掛けるときの形状を変更

ドラッグの操作でマスクを掛ける際、デフォルトでは四角形の範囲でマスクを掛けますが、スペースキーを押すとマウスカーソル横の表示が変わり、形状を切り替えできます。

スペースキーを押してマスクツールの形状を切り替え

それぞれの形状の選択のしかたは下表のとおりです。

マスクツールのモードの違い

ワークシートでの操作

マスクしたいデータを選択し、右クリックして開くメニューの「マスク:マスクを掛ける」を選択します。

ワークシートでマスクをかける

ワークシート上でマスクすると対応するグラフ上のプロットもマスクされていることがわかります。また、マスクデータがある場合のフィット結果のレポートには、どのデータがマスクされたかを「マスクされたデータ」表で確認できます。

マスクデータの表示を変更

マスクしたデータはデフォルトで赤色になりますが、色を変更したり、グラフ上で非表示にすることもできます。

ワークシートやグラフ上で右クリックして開くメニューの「マスク」にある「次のマスクカラー」を選択すると、このメニューを選択するたびにマスクデータの色が変更されます。
グラフ上で非表示にしたい場合は右クリックして「マスク:非表示モード」を選択します。

マスクメニュー

複数の区間に分けてフィット

グラフ上のプロットを複数の区間にわけてそれぞれの区間でフィットしたい場合は、Piecewise Fitという無料配布アプリを使用できます。それぞれの区間で同じ関数でフィットすることも、異なるフィット関数を指定してフィットすることもできます。使用方法についての詳細は以下のページを参照してください。

Piecewise Fitアプリ

テクニカルサポート

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その際、必ず「製品名」「バージョン」「シリアル番号」をご連絡ください。

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