棒グラフ

グラフを作成する際、最もよく利用されているのが棒グラフです。簡単に見えるグラフですが、使い方を誤ると分かりづらいグラフになってしまいます。

ここでは、棒グラフの使い方や作図上の注意点などを紹介します。

どんな時に使う?

棒グラフが一番得意なのは、データの「比較」です。棒の高さを比べて、項目の違いを感覚的につかめます。

下のグラフは、海外で生活する日本人の数を国別に棒グラフにしたものです。グラフをぱっと見ただけで、「海外で生活する日本人はアメリカ合衆国が1番多い」ということが伝わってきます。

海外で生活する日本人の数を表現した棒グラフ

出典:外務省「海外在留邦人数調査統計結果」

また、棒グラフは、同じ項目の別の条件のデータを並べて比較できます。例えば、上の例において、3年前のデータと比較できるように作図してみます。

期間内にどのように変化したのかを表現する棒グラフ

出典:外務省「海外在留邦人数調査統計結果」

この3年間で、中国では日本人の数が減少し、それ以外の国では増加していることがわかります。各項目が期間内にどのように変化したのかを表現できました。

気を付けること

棒は必ず0(ゼロ)の線から

縦軸の開始を「0」にしないと、データを正しく比較できないことがあります。下の二つのグラフは同じデータから作図していますが、開始の値が異なるだけでずいぶん印象が変わります。

棒は必ず0(ゼロ)の線から

出典:PR TIMES「きのこの山・たけのこの里 国民総選挙2019結果」

スペースの都合などにより、棒全体を短くしたい場合は、省略したことがはっきりとわかるようにする「軸破断」を追加すると良いでしょう。

安易に3Dグラフにしない

棒グラフを立体化すると視覚的なインパクトはありますが、正確な値がわからなかったり、比較しづらくなります。値を正確に表現することを重視し、安易に3Dグラフにしない方が良いです。

安易に3Dグラフにしない

出典:e-Stat「都道府県別総人口」

ラベル文字数が多いときは横棒グラフ

データ項名が長い場合は、縦棒グラフよりも横棒グラフの方が読みやすく、データ比較に十分な棒の長さを保てます。

ラベル文字数が多いときは横棒グラフ

出典:学研教育総合研究所「小学生が将来つきたい職業(2019年)」

もちろん、横棒グラフでも項目名があまりにも長い場合は、改行が必要です。

データ項目の並び順でグラフの印象を変える

棒グラフはデータ項目の並び順に意味を持たせることで、より伝わるグラフに変化します。

下図は、都道府県別の1日当たりの睡眠時間の棒グラフです。このグラフでは、睡眠時間が長い順に左から右にデータ項目を並べています。

値が大きいものから順に左から右に並べ替え

出典:総務省統計局「平成28年社会生活基本調査」

データの大きさ順でデータ項目を並べると、棒の高さに規則性が生まれるので、より比較しやすいグラフになります。さらに、全体の中でも突出しているデータを見つけやすかったり、途中から傾向が変わっていることを発見できる場合もあります。

出典:総務省統計局「平成28年社会生活基本調査」

どうでしょうか。データは全く同じなのに、見え方がずいぶん違うと感じたのではないでしょうか。このグラフの場合は、地域での比較がしやすくなり、日本の北側よりも南側の地域、そして、大きな都市の方が睡眠時間が短いようだ、ということが伝わってきます。

このように、「比較」が得意な棒グラフでも、どのようにデータ項目を並べるかで伝わってくることが大きく変わってきます。

時系列データでも良い?

データが時系列で並んでいるような場合に、7~8件までのデータを比較する目的で棒グラフを使い全体の傾向を把握することも可能です。

時系列データで作図する際には、横棒グラフよりも縦棒グラフの方がわかりやすいです。また、左から右に進むにつれて時間が新しくなるように並べると良いでしょう。

時系列データの棒グラフ

出典:総務省統計局「変化する世帯の姿」

7~8件より多いデータを時系列で比較する場合は、縦棒グラフよりも、折れ線グラフの方がデータの傾向を視覚化しやすく、おすすめです。

折れ線グラフの方が時系列データの傾向を視覚化しやすい

出典:気象庁「過去の気象データ」

折れ線グラフについては、次のページで紹介していきます。

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