JADEの使い方(6)
サーチマッチ(結晶相同定)
粉末X線回折の解析で相同定(サーチマッチ)は、全パターンフィッティング(WPF: Whole Pattern Fitting)による精密化と並び、JADEの中心機能の1つです。そのため、JADEのユーザインターフェイスはこれらの解析が使いやすいように最適化されています。
サーチマッチ(相同定)の実行
回折パターンのファイルをプロットウィンドウに開いた状態で、
- 「相リスト」タブをクリックするか、
- ツールストリップの「S/M」ボタンをクリックする
だけで、候補となる相のリストが「相リスト」タブに表示されます。
※「相リスト」タブを開いたときに自動でサーチマッチが始まらないようにしたい場合、
- キーボードの[Ctrl]キーを押しながら「相リスト」タブを開く
- 「相リスト」タブ下部にある「自動S/M」の設定をオフにする(下図)
のどちらかを行っておくことで無効にできます。
ヒットした相は、FOM(性能指数)でソートされます。FOMは0から100の値を取り、値が小さいほど一致度が高いとJADEがみなした相です。FOMに明確なしきい値はありませんが、一般的にFOMが10未満の場合は真剣に検討する必要があります。
伝統的に、ICDDのPDFのようなd-Iリストのデータベースに対して、測定したピークのリストを使いサーチマッチが行われてきました。今日ではコンピュータの高速化と検索アルゴリズムの向上により、測定した回折パターン全体を利用したプロファイルベースのサーチマッチが採用されています。JADEでもプロファイルベースのサーチマッチが採用されています。
プロファイルベースのサーチマッチでは、通常バックグラウンドのフィッティングと削除が必要ですが、バックグラウンドが非常に低レベルな場合とサーチマッチの対象とするデータの範囲を単一または少数のピークにする場合は例外となります。
見やすくするためにバックグラウンドの除去を行う場合は、想定外のヒットを減らすためにバックグラウンドの除去と共にKα2ピーク除去を行います。視覚的にピークを識別するのが困難でない限り、回折パターンのスムージングは必要ありません。
ゼロオフセット
「スキャン | 最近のファイル」リストのタブを開くと、右上に下図のツールバーが表示されます。「2θ(0) = ●●°」のボタンの上にマウスポインタを合わせてホイールを回転させると、手動でゼロオフセットを行えます。
また、プロットウィンドウのX軸にある「回折角 (2θ)」にマウスポインタを合わせてホイールを回転させる方法でも、手動でゼロオフセットを行えます。
使用するデータベース(サブファイル)の選択
JADEのウィンドウの右下(ステータスバーの右端)に、サーチマッチに使用するデータベース(サブファイル)を表示する項目があります。 この部分をクリックすると、JADEで利用可能なサブファイルの一覧が表示され、どのサブファイルをサーチマッチに使用するか選択できます。
すべてのサブファイルを使用したい場合は、「すべてのサブファイル」を選びます。 複数のサブファイルを選択する場合は、「複数選択を有効化」にチェックを付け、その後、使用したい複数のサブファイルを選びます(チェックを付けます)。