ウェーブレット解析

EViews 12では新たにウェーブレット解析エンジンが追加されました。ここでは、ウェーブレット解析を利用した単位根検定・季節調整、分散分解、閾値処理、外れ値検出を紹介します。
このページは、開発元のブログ:EViews econometric analysis insight blogの理論編実践編を元に作成しています。

ウェーブレット解析

icon カナダドルの為替レートの変化


ウェーブレット変換

  • ウェーブレット解析の最初の段階であるウェーブレット変換を用いて、スケール(周期)ごとに原系列を構成するスペクトルに分解します
  • 離散ウェーブレット変換(DWT)や最大重複離散ウェーブレット変換(MODWT)を利用して、単位根の検出を行います
  • 多重解像度解析(MRA)を用いてノイズを除去し、系列の季節調整を行います

ウェーブレット変換による単位根検定

  1. 使用するサンプルデータはここからダウンロードします。1973Q1から1988Q4までの3か国の為替レートの変化を記録したものです。
  2. カナダドルの為替レートの変化を記録したシリーズオブジェクト、CANADA_RERを開き、View > Wavelet Analysis > Transformation...を選択します。
  3. Max scaleドロップダウンリストで1を選択し、OKをクリックします。
    データ
  4. サマリ、スケールごとのウェーブレット係数と、最後にスケーリング係数が表示されます。最初のプロットは原系列を表し、後の2つはウェーブレットとスケーリング係数です。
    ウェーブレット変換
  5. ウェーブレット係数(W1)におけるスペクトルは、スケーリング係数(V1)でのスペクトルよりも全くはっきりとしていません。これは、カナダの為替レート系列がおそらく非定常であることを示しています。
    ウェーブレット係数のプロットでは、2本の赤い破線でそのスケールにおける係数の±1標準偏差を表します。これから、スケール1のウェーブレット係数の大部分を破棄できることがわかります。これは、CANADA_RERシリーズの高周波成分があまり顕著ではないことを示しています。
    ウェーブレット変換

多重解像度解析による季節調整

  1. CANADA_RERを開き、View/Wavelet Analysis/Transforms...を選択します。
  2. DecompositionOverlap multires. - MODWT MRAを選択、Max scale3にして、ClassLeast SynmetricLength12に設定し、OKをクリックします。
    ウェーブレット変換ダイアログ
  3. 最初のプロットは、最大分解レベルでのスムージングされた系列を、原系列にオーバーレイしたもので、原系列から季節性が削除されていることが明らかです。境界係数の影響を受ける観測値はすべて赤で報告され、その数は凡例で報告されます。Smooths 3は信号近似であり、プロットからは元データの輪郭に従っているように見えます。
    ウェーブレット変換

  4. Detailで報告されるウェーブレットディテールでは各周期における変動を捉えます。ここでDetail 3では、ノイズ(変動)はかなり無視できます。これは信号の大部分が低周波であることを示しています。Detail 2では、ノイズはより目立つようになりますが、それでも比較的無視できます。これにより、真の信号がさらに低い周波数帯にあることがわかります。
    ウェーブレット変換

分散分解

  • ウェーブレット変換がスケールごとの信号に分解するように、スケールごとに系列の分散を分解します
  • 全体的な変動への寄与がスケール1で最大である場合、これは、全体的な変動に最も寄与するのは一時的な力であることを示します。スケールが大きいほど全体的な変動への寄与が大きい場合は、逆になります

MODWT Unbiased Variance Decomposition

  1. JPANA_RERを開き、View/Wavelet Analysis/Variance Decomposition...と操作します。
  2. Ci typeAsymp. Band-Limited.を選択し、DecompositionにOverlap transform – MODWTClassにDaubechiesを、選択します。最後にOKをクリックします。

  3. 分散分解ダイアログ
  4. 出力結果は、上からサマリ、スペクトルテーブル、スケール間の分散分布、スケール間の信頼区間、および累積分散です。
    スペクトル表には、各スケールでのウェーブレット係数による全体的な分散への寄与がリストされています。特に、Varianceは、特定のスケールで合計に寄与する分散を示しています。Rel. Proport.は特定のスケールでの合計に寄与する全体的な分散の割合、Cum. Proport.はその累積合計です。
    最初のプロットは、各スケールでの分散のヒストグラムです。JAPAN_RERの分散の大部分は、より高いスケールまたはより低い周波数に起因することがわかります。これは、データの永続的な変動を示しており、単位根を持つ可能性があると考えられます。
    分散分解
  5. 分布プロットに続いて、各スケールにおける95%信頼区間とともに分散値のプロットがあります。最後のプロットには、スケール間における累積分散と信頼区間が表示されます。
    分散分解

閾値処理(ノイズ除去)

  • ウェーブレット閾値処理またはウェーブレット収縮では、原系列から不要なノイズを除去して、有用な情報または信号を取り出します
  • Least Asymmetricフィルタを使用して、閾値に満たないウェーブレット係数を全てゼロに変換して、目的の信号と残差の2つの分離します
  1. FRANCE_RERを開き、View/Wavelet Analysis/Thresholding (Denoising)...と操作します。
  2. DecompostitionOverlap transform - MODWT.を、Max scale1に、ClassドロップダウンリストでLeast Asymmetricを、Length12に設定します。最後にOKをクリックします。
    閾値処理ダイアログ
  3. 出力結果は、サマリ、ノイズ除去関数、ノイズの順番に表示されます。最初のプロットは、原系列とノイズ除去関数をオーバーレイしたものです。2つ目は、原系列から分離されたノイズ過程です。
    ウェーブレット閾値処理

外れ値の検出

  • Haarウェーブレットフィルタを用いて、原系列に含まれる外れ値を検出します
  1. ワークファイルのOutliersページに移動し、WATER_CONDUCTANCEシリーズを開き、View/Wavelet Analysis/Outlier Detection...と操作します。
  2. Max scale1に、MethodHardを、Wavelet coefficient varianceで、MethodMean Med. Abs. Dev..とします。最後にOKをクリックします。
    外れ値検出ダイアログ
  3. 出力結果は、サマリ、外れ値の表、スケールごとの外れ値グラフです。表には、検出された外れ値の正確な位置と、その値、系列の平均・中央値からの偏差が一覧にされます。次のプロットは、原系列上に、赤い点で外れ値が表示され、破線の基準線が追加されています。
    明らかに、1999年9月の大規模な範囲外の観測は正確に識別されています。 さらに、1988年9月、1992年1月、および2020年6月にも外れ値が検出されています。
    外れ値検出
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