EViews12の新機能

EViews12がリリースされました。ここではEViews12で新しく加わった、または更新された機能の一部を紹介します。

新しいインターフェース

EViewsはこれまでも使いやすいインタフェースに定評がありましたが、EViews12ではさらにインタフェースが改善されました。代表的な機能をご紹介します。

ワークファイルのフォーマット

新しいワークファイルフォーマット(.WF2)が導入されました。これは、JSONを使用したテキストベースのフォーマットで、テキストエディタでワークファイルを開き、データ要素を確認できます。デフォルトでは、.WF2はフォーマットされていない(改行やタブ文字の無い)JSONを生成し、GZIPで圧縮されます。これらは、設定でフォーマットされた非圧縮の、高速読み取りが可能なファイルに変更することもできます。

.WF2形式はオプションです。従来の.WF1形式は後方互換性があり、変わらず利用できます。

Workfile

マークダウンフォーマットでエクスポート

出力・印刷機能が強化され、マークダウン言語をサポートしました。表、グラフ、その他の出力結果をマークダウンフォーマットで出力できます。
EViewsからの出力結果をマークダウンで保存するには、右クリックからSave to Diskを選択し、File typeドロップダウンでMarkdownを選択します。

markdown

その他

EViews12では上記以外にもインターフェース機能が様々な強化・改善が行われました。

  • Pythonサポート機能の改善
  • 多数の新しい関数
  • プログラムのカラー印刷
  • 行列ベースの最小二乗法の計算

グラフ機能

グラフアニメーション

グラフアニメーションは複数のグラフとジオマップを連続で表示し、動画にします。静止したグラフでは表現できない、任意の区間におけるデータの変動をダイナミックに表現できます。このアニメーションには様々な設定を適用できます。作成したアニメーショングラフやGeomapはGIFまたはMPEGファイルとして保存できます。
アニメーションを作成するには、オブジェクトウィンドウに追加されたAnimateボタンをクリックし、動画の再生、アニメーション、データ、軸を設定します。

XYエラーバーグラフ

データの標準誤差をエラーバーとして表示します。エラーバーグラフは、X軸のデータ、エラーバーの上部、エラーバーの下部、シンボルとして表されるデータの4つの系列で構成されます。このグラフは、標準誤差付きのデータを観測値(日付)と分離して、プロットできます。旧バージョンでは、X軸が観測値のIDに紐付けられていましたが、EViews12では、特定のデータ(または系列)と結びつけることができます。

XYerrorbar

観測値ベースの基準線とシェードの配置 スマートシェーディング

従来のEViewsではグラフに基準線やシェードを追加する際、日付や期間で配置箇所を指定する必要がありました。EViews12では、観測値の情報を基づいて、これらをグラフに配置できます。
時系列のあるワークファイルでは、日付を指定して、基準線などを簡単に配置できるようになりました。例えば失業率がある基準を超えるという条件を設定して、不規則な要素に対して簡単にシェードを配置できるようになりました。

Shaped

その他

EViews12では上記以外にもグラフ機能が様々な強化・改善が行われました。

  • 16進数カラーコードのサポート
  • コマンドラインからグラフ要素を削除
  • 表を転置してコピー
  • 新しい表のデータメンバー
  • Geomapの自動クロップ

計量経済学と統計学

LASSOとAuto/GETsによる変数選択

Lasso機械学習モデルを使用して、モデル選択を行います。交差検証を行い、最適なλを決定し、必要に応じてリグレッサを変形します。また、General-To-Specific (GETs)は、回帰モデルが適切なリグレッサのセットに到達するまで、再帰的に変数を取り除く手法です。Escribano and Sucarrat (2011)とHoover and Perez (1999)のアルゴリズムに基いています。

変数選択または特徴量選択の手法として、従来のステップワイズ法に加え、EViews12ではLASSOとAuto-Search/GETSが追加されました。これらの手法では、変数選択を行ってから、標準的な最小二乗法を推定します。

Auto-Search/GETS

AutoSEARCHはEscribano and Sucarrat (2011)がHoover and Perez (1999)を元にした作成したアルゴリズムです。全ての変数を含むモデルと変数のパスを診断する以下のオプションを提供します。

  • AR LM検定
  • ARCH LM検定
  • Jacque-Beraの正規性検定
  • Parsimonious encompassing test (PET)
LASSO

LASSO (Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)はOLSのオーバーフィッティングを防ぐことを目的に、L1罰則付きの推定量を求めます。機械学習を利用し、交差検証を行い、最適なλを決定、必要に応じてリグレッサを変形します。

Indicator saturationによる外れ値の検出

EViews12では、回帰分析の外れ値と構造変化を検出するツールとして、indicator saturationアプローチが加わりました。最小二乗法に含まれる外れ値変数、シフト変数およびトレンド変数を自動的に検出します。外れ値変数は1つの観測値で1を取り、その他で0を取ります。シフト変数は0を取り、定数項のシフト後に1を取ります。トレンド変数は、0を取り、トレンドが増加すると1単位増加します。GETS (General to Specific)アルゴリズムを使用して、観測値がこれらのどの変数であるかを検出します。

MIADSモデルの強化

Mixed Data Sampling (MIDAS)回帰モデルは、異なる度数のデータを使用して回帰分析を行う、推定手法です。EViews12では、既存のMIDASツールボックスが拡張され、U-MIDASの推定で、GETSを使用した変数選択とindicator saturationが利用可能になりました。

GARCHモデルの強化

EViews12では条件付き分散モデルの推定ツールが改良され、長期記憶過程を許容する推定手法と新しい推定式ビューが追加されました。

Fractionally Integrated GARCHとEGARCH

Baillie, Bollerslev and Mikkelsen (1996)のFractionally Integrated GARCH (FIGARCH)モデルと、Bollerslev and Mikkelsen (1996)のFractionally Integrated Exponential GARCH (FIEGARCH)モデルをサポートしました。

新しいGARCHビュー

EViews12ではGARCHビューが更新され、簡単に推定式を診断できるようになりました。

News Impact Curve
News impact curveは変化(またはショック)に対する条件付きボラティリティをプロットします。これを表示するには、GARCHモデルの推定後、ViewボタンからGARCH Graphs/News Impact Curveを選択します。
Nyblomの安定性検定
Nyblomの安定性検定はパラメターの安定性または構造変化を検定します。
Sign-Bias Misspecification Test
条件付き分散モデルのmisspecificationを検定する、Engle and Ng (1993)のSign-Bias Testを行います。

Elastic NetとLASSO

Elastic netとLASSOはともに、既存データに良くフィットするものの、 少しデータを追加しだけでフィットが格段に悪くなるフィットオーバーフィッティングの問題に対応するものです。Elastic net がうまく機能すると、ほとんどの変数はそのまま利用され、パラメータの分散は小さくなります。
EViews11ではelastic net、リッジ回帰、LASSO推定ツールが提供されましたが、EViews12ではさらに以下の新機能が追加されます。

  • 罰則関数の交差検証のオプションに、学習・テストデータセットを選択するローリングとウィンドウ拡張が追加されました。
  • モデル選択ビューで交差検証の結果を確認できるようになりました。
  • 目的関数の変化と、交差検証データセットの構成を表す学習データセットのインジケータで診断を行うようになりました。
  • 観測値および変数で加重して推定できるようになりました。

モデルとVAR VAR/VECのインパルス応答の強化

VARとVEC推定におけるインパルス応答のインターフェースと信頼区間の表示が更新されました。

インパルス応答のインターフェース

従来では推定結果の表示を変えるたびに再設定と再計算を行う必要がありましたが、EViews12のダイナミックなインターフェースはインタラクティブに表示方法を変更できます。

インパルス応答の信頼区間

VARとVECのインパルス応答の信頼区間の算出にブートストラップ法が追加され、residual bootstrap、residual double bootstrap、fast residucal double bootstrapを計算できるようになりました。標準的なパーセンタイル、Hall (1992)のパーセンタイル信頼区間、Hall (1986)のstudentized confidence interval、Kilian (1998)の unbiased confidence intervalをサポートしています。

パネルデータの改良 パネルとプーリングにおける、2元クラスター共分散

過去のEViewsでは、パネルデータとプーリングモデルにおいて、クロスセクショナルまたは期間のクラスターを考慮した係数の共分散を計算していました。EViews12はこの機能を拡張し、クロスセクションと期間の両方で定義されるクラスターに頑健な共分散を計算します。

panel

ウェーブレット解析

ウェーブレット解析を使用して、系列を長期変動(ウェーブレット・スムース)と短期変動(ウェーブレット・ディテール)に分解します。これによって、一時的な要因を取り除き、系列の長期の近似を入手、系列分散を検出・分解、外れ値の検出が可能になりました。 主成分・主因子分析では、因子選択が可能になりました。Bai and Ng (2002)とAhn and Horenstein (2013)の、主成分・因子の数を決定するためのモデル選択に対応しました。

ウェーブレット解析を使用して、系列を長期変動(ウェーブレット・スムース)と短期変動(ウェーブレット・ディテール)に分解します。さらにウェーブレット解析では次分析が可能です。

  • 系列から一時的な変動を取り除き、長期的な近似を得る (スレショールディング)
  • 外れ値の検出
  • 系列の分散分析
wavelet

クロスセクション依存のパネル単位根検定

クロスセクション依存の検定は、第二世代パネル単位根検定とも呼ばれます。EViews12は2つの検定、Bai and Ng (2004)のPanel Analysis of Nonstationary in Idiosyncratic and Common Component (PANIC)と、Pesaran (2007)のCross-sectionally Augmented IPS (CIPS)をサポートしています。

因子選択

因子を用いる分析では、使用する因子数の選択が重要になります。EViews12では、データに基づくBai and Ng (2002)とAhn and Horenstein (2013)のアプローチが追加されました。このアプローチでは、次元削減のコンセプトを用いて因子数を選択します。

データベース

DBnomics

DBncomicsオンラインデータベースへのアクセスをサポートしました。DBnomicsはIMF、Eurostat、世界銀行、ECBなどの国内・国際機関の経済データを提供しています。データベースに接続するにはインターネット接続が必要です。
データベースの詳細は、DBncomicsのページをご覧ください。

dbnomics

米国エネルギー情報局 (EIA)

EIAデータベースは、米国エネルギー情報局が提供しているエネルギーと関連する経済データを収集している大規模なデータベースです。EViewsエンタープライズ版では、オンラインまたは、データファイルをダウンロードしてオフラインのどちらでもEIAデータベースにアクセスできます。

EIA

SDMXデータベースのインターフェース改良

SDMXデータベース(ECB、Eurostat、UN、IMF)と経済協力開発機構(OECD)のインターフェースを改良し、簡単にデータを検索できるようになりました。

IHS Markitでは複数のデータセットの金融データにアクセスします。このデータベースにアクセスするには、IHS MarktiデータAPIが必要です。EViewsエンタープライズ版のみアクセスできます。

Shaped

SDMXデータベースの改良

SDMXデータベースでは、下記のデータセットへアクセスして、広範なデータを入手できます。スタンダード版とエンタープライズ版の両方で、SDMX Web Serviceを通して、Eurostat、欧州中央銀行(ECB)、国際連合(UN)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)にアクセスできます。データベースに接続するにはインターネット接続が必要です。詳細は下記をご覧ください。

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