EViews13がリリースされました。ここではEViews13で新しく加わった、または更新された機能の一部を紹介します。
自己回帰分布ラグ(ARDL)モデルの推定機能が強化され、説明変数が基準値から正または負の影響に変化するような、複雑な関係を考慮した非線形ARDLモデルをサポートしました。従来のモデルでは長期的な共和分関係は対称性のある線形接続であることを想定していますが、非線形ARDLモデルでは短期および長期の非線形性を説明変数の正/負のpartial sum decompositionとしてモデル化します。
大規模なパネルデータでは、プール平均グループ(PMG)推定が良く用いられますが、PMGではARDLモデルの共和分をパネル設定に適用し、クロスセクショナルに異なる切片、短期的な係数、共和分項を許容します。EViews13ではPMGモデルが拡張され、次の2点が新たに追加されました。
非対称ARDL/PMGのサポートと合わせて、長期的な関係の診断とモデル設定が適切であるかを評価する、PMG推定の診断機能が追加されました。
EViews13では、Ollech (2021)による季節調整アルゴリズムを利用し、日次データの季節調整が可能になりました。一週間(7日)と一週間(5日)のどちらでも対応が可能です。
従来のEViewsではExcelがインストールされていなければ、Excelファイル形式でデータを出力出来ませんでしたが、EViews13の新しいExcel2007出力エンジンではExcelがインストールされている必要がなくなりました。さらに新しいエンジンではより効率的に大規模データが出力できたり、既存のExcelファイルにデータを書き加えたり出来るようになりました。
@holidayと@holidayset関数は観測値ごとに年次祝日の比率を返します。さらに"epiphany", "goodfriday", "easter", "easter-monday", "ascension", "pentescost", "whitmonday", "assumption", "allsaints", "immaculate", "christmas", "saintstephen"および元日、旧正月などの主な祝日をサポートします。
EViews13では、SDMXデータベースのサポートが強化され、オーストラリア統計局(Australian Bureau of Statistics SDMX Web Services)、ドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank SDMX)、Insee (L'Institut national de la statistique et des etudes economiques) SDMXをサポートします。データベースに接続するにはインターネット接続が必要です。
Trading Economicsは経済指標、株式市場、国債、為替レート、および商品価格に関するさまざまな過去のデータおよび予測データへのアクセスを提供します。データベースに接続するにはインターネット接続が必要です。データベースの詳細は、Trading Economicsのページをご覧ください。
世界保健機関(WHO)は、広い範囲の健康に関連したデータと統計情報へのアクセスを提供します。データベースに接続するにはインターネット接続が必要です。データベースの詳細は、WHOのページをご覧ください。
データエンジンが新しくなり、テキスト(ASCIIおよびバイナリ)、HTML、Excel XLSX、Excel 97 XLSファイルからEViewsの行列オブジェクトに直接データを読み込めるようになりました。エクスポートでは、ASCII、バイナリ、HTML、RTF、Excelフォーマット、LaTeX、MarkdownおよびPDFをサポートします。
行列オブジェクトに行および列ラベルを追加できるようになりました。
EViews13では行列オブジェクトの要素を抽出する便利なツールが追加されました。@fill()、@range()、@seq()などの既存の関数の機能が強化され、また使いやすくなりました。