EViews ユーザ事例 第9回
Excelの延長線のような使い方ができ、学生にも好評!(2)

横浜国立大学 経済学部 小林 正人 教授

EViewsを使う過程で理論の勉強が足りない部分を補うことができる!

―― EViewsを使った講義を受講する学生の皆さんの反応はいかがでしょう

【小林先生】
EViewsは、Excelと同様のメニュー操作による利用、コマンドでの利用、プログラムでの利用と、利用者のレベルと用途に応じて多種の利用方法が用意されています。Excelの延長線のような使い方ができるので、抵抗感がまったくないようです。

初めは理論的に講義していたのですが、数学的な能力が原因で応用段階にたどりつく前にあきらめてしまう学生がいました。そこで、ある程度高度な手法は、EViewsによるデータ分析の手順とその解釈にとどめるようにしてみたところ、かなり高度なところまで食いついてきて、見事な修士論文を書いてくるようになりました。これは統計学のブラックボックス化とよく批判されるのですが、さまざまな分野でかなり高度な分析手法がつかわれているので、そのマスターのためには労力節約は仕方がないかと思います。

―― 留学生についても同じようなことが言えるのでしょうか?

【小林先生】
以前、研究室にボリビアからの留学生を受け入れたことがあります。数学が苦手な彼は、研究室での勉強にかなり苦労していたようです。ところがEViewsのテキストを渡してから半年ほどすると、すばらしいレポートを書いてきました。

実際、彼は今、ボリビアでエコノミストとして活躍しています。勘の良い人であれば、理論の勉強が足りなくても、EViewsを使う過程で逆に勉強の足りない部分を補うことができるようです。ブラックボックス化されていることへの是非には色々な意見があると思いますが、EViewsの優れた機能の一つであると思います。

―― 小林先生ご自身がEViewsを知ったきっかけを教えてください

【小林先生】
5~6年前、住宅金融公庫の融資的確不適格判別のため、顧客のデフォールト確率予想モデルの作成について指導を頼まれたことがあり、現場ではEViewsしか使えないというので、大急ぎで私もEViewsを自習することになりました。それまではもっぱらTSPを利用していました。

―― EViews導入の利点などがあれば教えてください

【小林先生】
統計ソフトには、プログラムを書いて、それを走らせ、結果を解釈するというサイクルのソフトが多いのですが、今の学生はプログラムというものを書いたことがないので、プログラムをどう書くか教えることに時間をとられてしまいます。

ところがEViewsはExcelの延長線のような使い方ができるので、高度な統計分析に早い段階で移行できます。Excelのデータをそのままコピーできるところも学生には好評です。統計分析の初心者にとって、データの読み込みが一番の難関なので、そこが容易になったことだけでも福音です。

―― EViewsの特徴は情報のオブジェクト化にあります

【小林先生】
いくつもの推定結果を比較しながら作業することが多く、オブジェクトという構造の導入が大変便利です。

今までの統計ソフトだと新しい計算をする度に前の計算結果が消えてしまうので、いちいちファイルか紙にうちだして保存し、その整理に四苦八苦していました。EViewsではひとつのワークファイルの中に複数の推定結果がオブジェクトとして保存できるので、呼び出しや再加工が楽になり、作業効率が格段に上がりました。

―― EViewsの機能で不便だと思われるところ、今後改善を希望される機能を教えてください

【小林先生】
logit、probitで限界効果の計算結果が出力にあるほうが解釈が楽ですので、ぜひ追加をお願いします。また、Excelからラベルの付いたデータをコピー&ペーストするときにEmpty Groupの機能を利用しているのですが、このとき、第1行目にラベル(データ名)を入力してしまう学生がかなりの割合でいます。このあたりの仕様が改善されるといいと感じます。

―― 貴重なお話を伺うことができました。ご協力ありがとうございました


最後に小林先生と記念撮影!

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