Vol.50 ワークシートセルの値をグラフ上に表示

置換表記はOrigin/Pro内でグラフ上に特定のワークシート上のセルの値を表示したい場合や、それぞれのウィンドウのメタ情報を参照して表示するために利用します。表記方法にはいくつか種類がありますが、今回はよく使う表記に絞って具体例を出しながら使い方をご紹介します。

置換表記を使うとこんなに便利!

  • グラフテンプレートで利用することで、使ったデータのファイル名をグラフ上に表示できます
  • 元の1つのセルだけ値を編集すれば同じ値を表示したいセルやテキストでも参照して値を表示できるため、値を変更する際に編集する部分を削減できます。
置換表記の例

ざっくり!置換表記の使い方

よく使う置換表記としては"%()",文字列レジスタ%A-Zの2つがあります。特に"%()"は様々な使い方があり、参照したいデータや表示する場所などによってどの表記を使うかが変わってきます。このセクションではこの"%()"表記を使って、グラフ上にワークブックにある情報を表示してみます。

事前準備

使用するサンプルファイルは、以下よりダウンロードできますので、お手持ちのOrigin/Pro上で実際にインポートの操作をお試しいただけます。

サンプルファイル(substitution_notation_sample.zip)

zip

zip(37.1KB)

サンプルファイルを開くと、1つのワークブックと1つのグラフがあります。このグラフ上にワークブックの特定のデータセルの値、今回はB列の1行目の値"40"を置換表記を使って表示してみます。

  1. まず、グラフ上に"40"を表示するためのテキストを追加します。グラフがアクティブな状態(グラフにマゼンタ色の枠が付いた状態のことです)で、Origin左端にあるアイコン群からテキストツールを選択し、グラフ上の任意の場所で1回クリックします。入力待機状態になるので、ここに置換表記のテキストとして"%([Book2]Trial_Run_1,2,1)"を入れます。
  2. グラフ上にテキストを追加
  3. この状態では"%([Book2]Trial_Run_1,2,1)"がそのまま表示されており、Originがこのテキストが置換表記であることを認識していないので、テキストに置換表記が含まれていることを示す設定を行います。テキストを右クリックし「プロパティ」を選択します。
  4. 「プログラミング」タブに移動し、「(%,$)にリンク,置換レベル」を"1"にして「OK」することで、Originが置換表記を認識し、グラフ上に"40"という値が表示されます。
  5. テキストが置換表記であることを設定

このようにセルの値を置換表記で表示したい場合には、"%([ブック名]シート名,列番号,行番号)"と書くのが基本です。

また、置換表記を入力したテキストで「(%,$)にリンク,置換レベル」を"1"に設定することで、そのテキストに置換表記があればOriginが置換して表示します。
※「(%,$)にリンク,置換レベル」は"0"で置換表記なし、"1"で置換表記ありを表します。"2"、"3"は高度な置換を行う場合にのみ使いますので、基本的には"1"のみを利用してください。

テキストには置換表記以外も一緒に書けます

上記例では、"40"のみを表示していますがこのテキストに"Delta Tempareture初期値:"と追記して下図のように"Delta Tempareture初期値:40"という表示にすることもできます。

置換表記とテキストを1つのテキストオブジェクトに併記

"%()"置換の表記例

先のセクションのようにセルの値を置換表記で表示したい場合には、"%([ブック名]シート名,列番号,行番号)"と書くのが基本です。ただし、表示したいものや表示する場所によって使える他の表記方法もあります。このセクションでは"%()"置換のその他の表記方法についてご紹介します。
※引き続きサンプルファイルを例にしてご紹介します。

データのメタ情報を置換表記で表示する

先ほどのようにデータセル自体を参照する場合には列番号と行番号を指定すればよいですが、ではワークシート上の各列にある黄色のヘッダ行をはじめとするデータのメタ情報を表示する場合にはどうすればよいでしょうか。メタ情報を表示する場合には、それぞれの情報が記述されている場所ごとに"@オプション"と呼ばれる場所を指定する文字列があり、これを使って表示する情報を指定します。

では先ほどのサンプルファイルで、今度はB列のコメント行をグラフ上に表示してみましょう。コメント行を表示する場合には、"%([Book2]Trial_Run_1,@LC,2)"と書きます。"[Book2]Trial_Run_1"まではデータセルを表示するときと同じですが、"@LC"がコメント行を指定する@オプション、そのあとの"2"は列番号を表し、B列のことを指しています。

具体的には、先ほどと同様に

  1. Origin左端にあるテキストツールを選択してからグラフ上で1回クリックして入力待機状態にし、
    "%([Book2]Trial_Run_1,@LC,2)"と入力します。
  2. テキストを右クリックし「プロパティ」を選択します。
  3. 「プログラミング」タブに移動し、「(%,$)にリンク,置換レベル」を"1"にして「OK」します。
置換表記でコメント行を表示

@オプション

@オプションは置換する場所を指定する表記です。コメント行であれば@LC、列ロングネームであれば@Lなど表示するものによって使うオプションが変わってきます。コメント行以外を表示する@オプションについてはPDFにまとめたものがありますので、こちらをご覧ください。

応用編

グラフ上からワークシートのセルを参照して置換表記を記述する場合、グラフ上のプロットが使っているデータのあるワークシートを指定して置換表記で参照するという方法もあります。例えば、グラフ上の1つ目のプロットの元データのあるワークシートの名前をグラフ上に表示する場合の置換表記は"%(1,@WS)"と表記します。この表記を使ったテキストの入ったグラフをグラフテンプレートとして保存することで、このテンプレートを使ったグラフでは元データのワークシート名が常にグラフ上に表示されるようになります。

プロットの元データからワークシート名を表示

その他の"%()"置換表記については下記リンクからOrigin/Pro開発元ページをご覧ください。

文字列レジスタ%A-%Zの例

文字列レジスタ%A-%Zは数値や文字列を保存しておける変数です。ただし、一部の文字列レジスタはシステムで文字列や数値がすでに入れられているため、上書きできないものがありますが、これらが便利に使える場合がよくあります。
例えば%Xには現在のプロジェクトファイルがあるフォルダのパスが入っています。これを"%()"置換のようにグラフ上に入れておけば、グラフを画像にエクスポートしたあとに画像を確認すれば元データの入ったプロジェクトファイルの場所が瞬時に確認できます。

注意点として、%X"でパスを表示する場合には、テキストを右クリックし「プロパティ」で表示されるダイアログにて、「入力のまま」にチェックを入れておく必要があります。これはパスに含まれる¥記号がOrigin/Proでは「エスケープシーケンス」と呼ばれる別の表記方法の目印として解釈され、デフォルトでは表示されなくなるためです。

「入力のまま」にチェックを入れる

その他の文字列レジスタとその内容についてはこちらをご確認ください。

補足情報

その他の置換表記についてはOrigin/Pro開発元ページに記載がありますのでこちらをご覧ください。

テクニカルサポート

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