潜在因子を抽出し、構造的な理解を深める
Factor Analysis(因子分析)アプリは、複数の変数の背後にある共通因子(潜在変数)を抽出し、データ構造を単純化・視覚化するためのアプリです。主成分分析(PCA)や最尤法(ML)などの抽出法と、Varimax などの回転法に対応し、スクリープロットやバイプロットなどの作成も可能です。2025bのバージョンからダイアログの日本語表示にも対応しています。
![]() |
|
作者 | OriginLab Technical Support |
ライセンス | 無料 |
必要バージョン | Origin2018b (9.55)以降、Pro版専用 |
ユーザインタフェースの言語 | 日本語/英語 |
カテゴリ | 統計 |
開発元ページ | Factor Analysisのページ ※英語のみ |
回転の手法 | 特徴 |
---|---|
なし | 回転を行わず、抽出された因子のまま使用 |
Quartimax | 各変数が1つの因子に強く寄与するよう最適化 |
Varimax | 最も一般的な直交回転法で、因子ごとの解釈性を高める |
Promax | 斜交回転法で、因子間の相関を許容しながら回転を行う |
※一般的には Varimax が最も広く使用されますが、解析の目的に応じて回転法を選ぶことが重要です。
項目名 | 説明 |
---|---|
記述統計 | 平均、標準偏差 |
相関行列 | 変数間の相関係数行列を出力 |
回転前の因子負荷量 | 回転前の負荷量マトリクス |
残差行列 | 因子モデルと実データとの差を示す残差行列 |
回転後の因子負荷量 | 回転後の負荷量マトリクス |
回転行列 | 回転に使用された変換行列 |
スコア係数 | 因子スコアの計算に用いられる係数 |
スコア | 各観測の因子スコア(新しい軸での位置) |
実行後には、結果レポートシート、プロットデータのシートなどが出力されます。
操作例として、ヨーロッパ25か国における食品カテゴリ別のタンパク質消費量をまとめたデータを使用して分析します。
アプリウィンドウにあるFactor Analysisアプリアイコンを右クリックし、「サンプルフォルダを開く」を選択して開いたフォルダ中のFactorSample.opjuを開きます。
「Protein Consumption in Europe」シートには、ヨーロッパの国ごとに以下の食品カテゴリにおける1日あたりのタンパク質摂取量(g)が記録されています。
このように変数が多いと個別の比較では全体像がつかみにくくなりますが、因子分析を行うことで背後にある共通の要因(潜在因子)を抽出し、各国の摂取パターンを少数の因子で表現・比較することが可能になります。
この因子分析を通じて、次のような傾向が得られることが期待されます。
因子分析の結果、ヨーロッパ各国の食生活に関して以下のような傾向が読み取れます。各因子は、特定の食品カテゴリの消費パターンに基づいて構成されており、各国の食文化の特徴を捉えるヒントとなります。
各国の因子スコアを比較することで、地域ごとの食文化や栄養の傾向、健康志向などを俯瞰的に捉えることができます。また、食品カテゴリと因子の関係はローディングプロットやバイプロットから視覚的に確認することができます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せフォームよりテクニカルサポートまでご連絡ください。
その際、必ず「製品名」「バージョン」「シリアル番号」をご連絡ください。