フィッティングの方法

Excelでフィットを行う場合には、変数セルや目的セルなど事前に準備するものがいくつかあり手間がかかりますが、Originでは元データ(もしくはグラフ)があればそのままフィットに使う関数を選択してフィットを実行できます。ここでは同じデータに対してフィットを行う手順をOriginとExcelで比較してご紹介します。今回はOriginに標準で組み込まれているGauss関数でフィットさせる場合の手順を比較します。

※使用した各ソフトウェアのバージョン:Origin 2021b、Excel 2016

Originでフィッティング

Excelでフィッティング

Originの場合

  1. 元データから作成したグラフのウィンドウを選択し、メニューから「解析」の「フィット」の「非線形曲線フィット」 でダイアログを開きます。
  2. 開いたダイアログでカテゴリは「Origin Basic Functions」のまま、関数を「Gauss」にセットして中央右側にある「フィット」ボタンをクリックするとフィットが実行されます。
  3. フィットが完了し、パラメータの値や統計値などがまとめて見られるレポートシートが出力されます。また、グラフにもフィット曲線が自動的に追加されます。

Excelの場合

  1. 元データとGauss関数のパラメータ用のセルを用意します。
  2. パラメータの値を使ったGauss関数のデータ列を作成します。
  3. Gauss関数のデータ列と元データの残差の二乗を出します。
  4. 残差の二乗の総和を求めます。
  5. Excel上部のタブから「データ」タブに移動し、「ソルバー」を選択します。
  6. 目的セルに残差二乗和のセルを、目標値を「最小値」に、変数セルをパラメータのセルに設定してあとはデフォルトのまま「解決」ボタンをクリックします。
  7. 「ソルバーによって現在の解に収束されました。」と表示されればOKです。レポートが必要な場合にはレポートの中にある必要な項目を選択して「OK」でダイアログを閉じます。
  8. Gauss関数のデータ列の値がフィットしたときの値に書き換わったので、これと元データをグラフにプロットすると下図のようになります。

Originのフィットで便利な機能

グラフがなくてもデータからそのままフィット可能

Originではグラフがない状態でもフィットさせたいデータ列を選択した状態でメニューから 「解析」の「フィット」の「非線形曲線フィット」 を同様に行いますとフィットが実行できます。(グラフはレポートシート内のもののみになります。)

パラメータの初期値を自動で設定

Originでは初期値を設定する場合、関数を設定したあと「フィット」ボタンを押す前に「パラメータ」タブに移動して値の列を変更することでパラメータの初期値を変更できます。
また、Originでは自動的に初期値を計算してくれる機能がありますので、フィットごとに毎回設定せずともフィットを実行できます。

フィットで重要な値を自動でレポートシートに出力

Excelのレポートには自分で設定しない限りフィットの結果を評価する値は出力されませんが、Originでフィットを実行すると結果を評価するのに役立つ様々な指標の入ったレポートシートが自動的に出力されます。
代表的なものとして、

  • 標準誤差:パラメータごとに結果の精度がどのくらいであるかを表します。
  • 補正R二乗:0から1の範囲の値で出力され、1に近いほど元データによくフィットしていることを表します。

があります。

その他の出力される値については下記ページをご覧ください。

まとめ

Excelでは毎回関数を作成する必要がありますが、Originにはよく使われる関数があらかじめ組み込まれているので、作業時間を短縮できます。また、グラフからフィットすれば自動でグラフ上にフィット曲線も追加される点も便利ですね。
なお、Originでも、自分で定義した関数でのフィットが可能です。また、パラメータの値の範囲やパラメータ同士の関係を設定してフィットを実行することや、複数データでフィットを実行する場合にパラメータを共有することもできます。

詳細は下記ページをご参照ください。

 


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