X2軸グラフの作成(横2軸グラフ)

科学技術分野のグラフでは、横軸として下軸と上軸に異なる2軸を設定したい場合がしばしばあります。例えば下軸には絶対温度[K]、上軸には摂氏[℃]というように異なる単位で目盛を表示したい場合、波長と波数のように数式で表すことができる場合などです。このような場合、Excelでは直感的ではない方法で無理やり2軸目を設定する必要がありますが、もともと科学技術分野向けに設計されているOriginでは、横2軸のグラフの作成も容易です。また、Originは、下軸と上軸でスケールタイプが異なる場合(線形、対数、逆数など)でも、容易に対応できます。

※使用した各ソフトウェアのバージョン:Origin 2021b、Excel 2016

OriginのX2軸グラフ(横2軸グラフ)

Originでは、グラフの上・下・左・右の軸に別々の設定を持てるように作られています。横2軸のグラフも容易に作図できます。下軸と上軸(または左軸と右軸)の関係を数式で設定することも可能です。

ExcelのX2軸グラフ(横2軸グラフ)

Excelでは、データ系列に軸を割り当てる形になっているため、第2軸用のデータ列を用意して第2軸を追加し、第2横軸の範囲(境界値)を手動で計算して入力し、設定します。

Originの場合

  1. グラフを作成するデータをワークシートに用意し、作図したいデータ列を選び、作図メニューから作図したいグラフのタイプ(このグラフでは「線+シンボル」というタイプ)を選びます。
  2. グラフの軸をクリックし、ミニツールバーで反対側の軸を表示するメニューを選び、上と右の軸を表示します。
  3. 追加された上軸をダブルクリックし、軸の設定を行う設定画面を開きます。「目盛ラベル」タブで、上軸の目盛と下軸の目盛の関係性を数式で設定できます。このグラフは横軸が温度を示しており、下軸が絶対温度の「K」(ケルビン)、上軸が「℃」となりますので、「x-273.15」と入力します。
    ※下軸をxとして上軸を数式で設定します。
  4. 軸の設定で縦軸、横軸(下軸)の範囲、軸タイトルなどを指定すると、下図のような横2軸のグラフが完成します。

補足

Originでは、横2軸目の開始(最小)、終了(最大)値をするような単純な横2軸グラフだけでなく、以下のように、①上下で刻み位置が異なる横2軸グラフ②上下の軸でスケールタイプが異なる横2軸グラフ(使用できるスケールタイプは線形、対数、逆数、ユーザ指定の関数など。例えば波長と波数を示すグラフなどを作成できます)、③Xの範囲が異なるデータを重ねて表示する横2軸グラフなど、さまざまなタイプの横2軸グラフを作成することができます。

①【例】 上下で刻み位置が異なる横2軸グラフ

②【例】上下の軸でスケールタイプが異なる横2軸グラフ
このグラフでは、上軸が摂氏の温度「℃」、下軸が1000/Tで単位が絶対温度の逆数「K-1」(アレニウスプロット)で、上下軸でスケールタイプが異なりす。

③【例】 Xの範囲が異なるデータを重ねて表示する横2軸グラフ
この方法で作成すると、X軸(横軸)が2軸のグラフだけでなく、さらに横軸の数が多い、多軸のグラフも作図できます。

Excelの場合

  1. Excelのグラフは、データ系列それぞれに軸を指定する作りになっているため、2軸目を追加するためにダミーのデータ列を1つワークシートに用意します。
  2. ワークシートで作図したいデータの列(ダミーの列も含める)を選択し、メニューで「挿入」→「グラフ」→「散布図(直線とマーカー)」を選びます。下図のようなグラフがワークシート上に追加されます。 ※2つのプロットが重なった状態でグラフが作成されています。
  3. ダミーのデータ系列に、第2軸を割り当てる形で列を追加します。グラフのプロットを選択して右クリックし、「データ系列の書式設定」を選びます。ワークシートの右側に「データ系列の書式設定」が開くので、「系列のオプション」の「使用する軸」の設定で、「第2軸(上/右側)」を選びます。グラフに右軸が追加されます。
  4. 第2軸の上軸を表示します。「グラフツール」の「デザイン」で、「グラフ要素を追加」→「軸」→「第2横軸」を選びます。グラフに上軸が表示されます。
  5. グラフの上軸をクリックし、「軸の書式設定」で「軸のオプション」(棒ぐらいのアイコン)をクリックします。軸の境界値を設定できるので、上軸の開始(最小)と終了(最大)の値を入力します。
  6. ダミーのデータ(第2系列)のプロットがグラフに表示されてしまうため、第2系列のプロットを表示しないようにします。
    ・グラフのプロットをクリックして選択し、「系列のオプション」から「系列2」を選びます。
    ・「塗りつぶしと線」アイコン、「線」と順にクリックし、「線」の設定を「線なし」に変更します。
    ・「マーカー」をクリックし、「塗りつぶし」を「塗りつぶしなし」、「枠線」を「枠なし」に変更します。
    第2系列のプロットが非表示になります。
  7. あとは、グラフの表示上の細かい調整を行います。グラフをクリックすると右上に表示される「+」アイコンをクリックし、必要な要素にチェックを付けて表示するようにし、逆に不要な要素は非表示にします。軸タイトルなどを修正すると、グラフは完成です。

まとめ

Excelはあくまでも表計算ソフトです。そのため、グラフ作成に関しては科学者・技術者の作成したいグラフや機能については、あまり考慮されているとはいえない作りになっています。この横2軸グラフでも、ダミーデータを作り、プロットを非表示にして見た目だけそのようなグラフに見えるように無理やり作っている形です。

それに対してOriginは、ソフトウェアが生まれたときから、科学者・技術者の仕事のために作られています。科学技術分野でよく使われるグラフ、表現、機能に熟知しており、25年以上も世界中の科学者・技術者からの声に応える形でソフトウェアを磨き上げてきました。ここで紹介したいくつかの横2軸グラフについても、当然そのようなグラフが作成されることがあるという前提で、グラフ作成の機能が作られています。そのため、グラフの作成方法も直感的で、手数も少なくて済み、完成したグラフに見た目上の違和感もなく、完全な形で対応できます。

 


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