Origin/OriginProユーザ事例集
第5回「Origin南極へ行く!?」
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北見工業大学教授 亀田貴雄 様 Originの用途:積み上げグラフの作成、ローパスフィルタ解析 論文 |
雪氷学ご専門の北見工業大学 亀田貴雄教授は、南極ドームふじ基地で越冬観測を実施し、そこでの観測データの可視化と分析を、ソフトウェアOriginを用いて行っております。 |
― Originを導入したきっかけは何だったのでしょうか?
知人の紹介でOriginを購入。実は当初は使い方が分からず、購入したものの、あまり使用していなかった。南極から帰国後グラフの作成に苦慮し、初めてテクニカルサポートに相談した際、非常に丁寧に対応して頂いた。早いときは当日、遅くとも翌日には「作りたいグラフ」のファイルが添付されたメールが届き、さらに作成手順も明示されていた。これがきっかけとなり、自分で作りたいグラフを作れるようになった。大変感謝している。
テクニカルサポートのご評価をいただき誠にありがとうございます。実は、このサポートが、無料で提供させていただいていることが、まだまだユーザ様へ浸透しておりませんので、ユーザの皆様へは有効に活用いただきたいと思っております。
― Originの前はどのようなソフトを利用していましたか?
それまでは、グラフ作成にはMicrosoft-Excelを使用していた。しかしグラフのサイズが自動的に変わってしまうなど、使い勝手に不満があり、例えば積み上げグラフなどは満足できるものを作ることができなかった。
確かに、特に工学系のグラフや、大量のデータの作図する際は、より表現力があり、データ数に制限のないOriginを選択いただいております。
―利用してみたい機能(Originへのご要望)
以前、ローパスフィルターを必要としていたが、この機能は現在導入されており満足している。
今後の要望としては、限られた手順で作成できるいくつか代表的なグラフのひな形と、そのグラフの作り方の手順を簡単にまとめたものをウェブサイトからダウンロードできるようにしてもらえると助かる。Originの取扱説明書は、全ての機能を詳しく書いてあるが、研究の現場では「作りたいグラフ」がまずあり、それを作るにはどうすればよいかといったものがあると有益ではないか。
グラフギャラリーや、テクニカルサポートサービスをご活用いただければと存じます。
―お気に入りの機能(積み上げグラフ他)
(解説)
南極の沿岸から1000kmに位置するドームふじ基地で観測した皆既日食の前後での気象要素(放射量,放射収支,気温・雪温,気圧,風速・風向)の変化を示す。縦線で日食の状況を示す。初めの縦線(第1接触)は日食の始まりを示す。2番目の縦線(第2接触)は皆既食の始まりを示す。つまり,この時から大空には黒い太陽が現れる。3番目の縦線(第3接触)は皆既食の終わりを示す。この時にはダイヤモンドリングが空に輝く。4番目の縦線(第4接触)は日食の終了を示す。皆既食中は太陽から日射量が0で,気温が最大3℃下がり,表面雪温が最大4.5℃下がった。ドームふじでは気温が-51℃でこの皆既日食を観察したが,徐々に日射量が減少し気がつくと空に黒い太陽が現れ,暗い状況になった。1分43秒後にはダイヤモンドリングが起こり,再び,太陽が現れた。大自然が起こすダイナミックな現象に大変感動したことを今でも覚えている。また,日本神話に出てくる「天の岩戸伝説」はこのような皆既日食が原因ではないかとも思った(左図はKameda et al., 2009 in JGRより引用)。